- 展覧会
- 川瀬巴水 ― 日本のイメージ
川瀬巴水 ― 日本のイメージ
19 december 2025 t/m 15 maart 2026
新版画 ― 日本木版画の再生
20世紀初頭、写真やリトグラフが徐々に台頭し、伝統的木版画浮世絵は衰退の危機にありました。しかし、出版者 渡辺庄三郎 の尽力により、木版画は「新版画」として生まれ変わりました。画家・彫師・摺師・版元が協力し、伝統とモダンを融合させた作品を生み出しました。
風景画の大家
川瀬巴水 は35歳で版画製作を始めました。巴水の風景画は日本中を歩いて描いたスケッチが実ったものです。先達が名所を描いたのに対し、巴水は親しみある、穏やかな景色をを選びました。こうして余り知られていない場所、巴水によれば本物の日本に光を当てました。これが大成功し、巴水の版画は日本やアメリカで蒐集されました。
1. 「暮るる雪』(ベルベーコレクション)土井版画展(ベルベーコレクション)2. 「水揚げ樋 (佐渡所見)』(ベルベーコレクション)3. 「星月夜(宮島)」渡邊庄三郎(ヴィレムーヤン・ファン・エルク蔵)
失われた作品
巴水は落ち着かない、変化の激しい時期を生き、これはその版画家としてのキャリアに影を落としました。1923年の関東大震災で、巴水の版元渡邊庄三郎の家は全壊し、巴水は版木や版画の在庫を失いました。また、スケッチブックさえ消失しました。したがって震災前の版画は極めて希少です。 この展覧会は巴水の初期の作品を30点以上もご堪能いただける貴重な機会です。
1. 「塩原畑下り』渡邊庄三郎(個人蔵)2. 「雨の清水寺』(ベルベーコレクション)
瓦礫の山からの再出発
巴水も版元渡邊も東京大空襲を生き延び、作品の在庫も空襲を逃れました。瓦礫のと化した街で、巴水はすぐに製作を再開しました。戦後も戦前同様、アメリカ人は版画を買いました。戦後日本に駐留した軍人が買ったのです。渡邊庄三郎の商才はかなりのもので、大量の版画をアメリカに輸出しました。
1. 「森ヶ崎の夕陽」(リントフェルトコレクション)2. 「富士の雪渓(田子ノ浦)』土井版画展(ヘンセルマンスコレクション)3.
版画作品とイラスト
本展では、巴水の版画だけでなく、メニューや雑誌、ポスター、絵葉書などのために製作されたイラストにも焦点を当てています。巴水が多才で、生涯、いかに作品のスタイルを変えて行ったかご覧いただけます。作品はオランダ、ベルギー、ドイツの美術館、あるいは個人蔵から借用しています。
日本のイメージを定着させる
巴水は西洋では「日本のイメージを作り上げた人物の一人と見做されています。生涯に製作した版画はおよそ600点に及び、今日に至るまで世界中で称賛されています。
日本博物館シーボルトハウスは、ヨーロッパで初となる川瀬巴水展を開催します。
図録
この展覧会には250点以上の作品を収録した図録がございます。