展示

日本のヌード

2019年3月15日から25週間、『日本のヌード』と題して写真展を開催いたします。


ゲストキューレーターは、マルティン・ファン=ピーテルソン&アネマリー・ゼットホフ(アントワープ居場所ギャラリー)です。

この展覧会は、裸体撮影を通じて日本写真史の発展を紹介するものです。展示するのは、19世紀の古写真、20世紀前半の造形的写真、第二次大戦直後の社会写実写真、60年代、70年代の試作的写真、そして現代写真、荒木経惟、森山大道、中山岩太、本庄光郎ら写真家20名の作品です。多角的な裸体撮影を展示することで、日本写真史における倫理観、社会観、エロティシズムの変遷をご紹介します。

『日本のヌード』展

日本人にとって裸は特別なことではなかった。炎天下で肌を露わにして働く男女、一緒に温泉につかる家族、相撲取りの姿、これらはごく当たり前の光景であった。裸とエロチシズムに関連はなく、性的行為は自然なものと見做されていた。これは18世紀の春画と呼ばれるジャンルの浮世絵に明らかである。

一方、西洋美術においては、性的行為の表現はほとんど皆無であった。西洋人は「(覗き)見る」という行為にとりつかれ、「覗き」は西洋美術における不変のテーマである。これは、女性の(裸)体に注がれる男性の視線であり、モデルは視覚的消費の対象物となる。

日本人は1854年の開国とともに、外国の技術や思想を受けいれたが、この裸体に関する観念もその一つであった。そして写真は、日本への導入当初から、この観念の影響を受けたのである。同時に陰毛や性器を露わにすることを禁止するなど、厳しい風俗法も導入され、これは今日まで続いている。

この展覧会では、裸体というジャンルにを通して、日本の写真史の発展を紹介する。日本のヌード写真は、19世紀からいくつかの流れを通じて、今日の現代写真に至る。

19世紀:写真技術の導入 無名写真

写真技術は、1830年頃フランスとイギリスで発見された。正確には、ルイ・ダゲールとヘンリー・フォックス・タルボットの実験から生み出されたとするべきだろう。 当時、オランダはすでに200年にわたり、日本と交易をしていた。オランダ人はすでに1840年頃、写真技術を日本に紹介している。1848年、まだ開国前に、薩摩守島津斉彬が写真機と現像に必要な化学薬品の入手している。1857年、斉彬のもとで科学者等は日本で最初となる写真の焼き付けに成功した。いわゆるダゲレオタイピという撮影法で、これは日本人に大きなインパクトを与えた。

1868年、新政府による近代化が始まった。フェリーチェ・ベアトやライムント、シュテルフリート男爵らが港町横浜や長崎にスタジオを構え、日本人の第一世代の写真家を育成した。

新しい技術が開発されるごとに写真はどんどん身近になり、手軽に手に入るようになった。また、日本を訪れる外国人は増加の一途を辿り、土産用の写真への需要が増え、写真館の繁栄に寄与する。これらの写真は「横浜写真」と呼ばれ、外国人向けに名所や日本人の習慣、そして日本人女性を撮影した物だった。このうちの日本人の習慣と女性の写真は、エロチックな写真と平行して発展して行った。写真館の入浴セットで半裸体でポーズを取る芸者の写真は、エキゾチックな観光土産としてりっぱに通用した。それ以上になると、たとえば裸体モデルがエロチックなポーズを取るなどした場合には、それはそれでまた別の需要があったわけである。

一方の男性の裸体は、相撲姿や入れ墨など見せ方は限られていた。

この時期の写真について撮影者や印刷者を特定することは難しい。写真は、商品であり記録であり、芸術とは見なされなかったからである。訳語「写真」、つまり「真を写す」、がそれを物語っている。

芸術写真

中山ウント(漢字未詳、20世紀初頭活動)

野島康三 (1889〜1964)

新興写真〜前衛写真

中山岩太 (1895〜1949)

椎原治 (1905〜1974)

スーパーリアリズム

岩瀬禎之 (1904〜2001)

主観的写真

本庄光郎 (1907〜1995)

新山清 (1911〜1969)

大西茂 (1928〜1994)

VIVO派

細江英公 (1933生)

石黒健治 (1935生)

森山大道 (1938生)

深瀬昌久 (1934〜2012)

立木義浩 (1937生) 篠山紀信 (1940生)

沢渡朔 (1940生) 原芳市 (1948生)

平敷兼七 (1948〜2009)

田原桂一 (1951〜2017)

荒木経惟 (1940生)

現代写真

井津建郎 (1949生)

権平太一 (1956生)

荻野NAO之 (1975生)

池谷友秀 (1974生)

フォトグラファーハル (1971生)

野村佐紀子 (1967生)

細倉真弓 (1979生)

Tokyo Rumando (1980生)

安楽寺えみ (1963生)

野村恵子 (生年月日非公開)

岡部桃 (1981生)

鷹野隆大 (1963生)